「天瀬温泉付き別荘」は、平成8年の「香覧台」より販売が開始され、現在までに約700区画が分譲販売されました。
販売時には温泉水道施設負担金の名目で150万円が土地代と別途集められ、新聞折り込みの販売チラシには「源泉地及びそれに付帯する施設等、敷地はすべて共有登記になります。」と記載されていました。また、販売会社の販売員も、現地説明や登記契約時に、温泉権利(源泉地共有登記)の約束をしました。
しかし、現実には誰一人として源泉地の共有登記はされず、実際に共有登記されたものは「タンク室の敷地」のみでした。
このことから、別荘地オーナーが「源泉地の共有登記と温泉採取権の共有確認」等を求めて裁判を大分地方裁判所日田支部に起こしました。
現在、「第1陣訴訟(平成22年(ワ)第71号共有登記手続き等請求事件 原告井武志外11名・被告加藤利彦外2名)」と「第2陣訴訟(平成22年(ワ)150号共有登記手続き等請求事件 原告関口トモミ外245名・被告加藤利彦外2名)」の2つが同時並行審議で行われています。
第1陣訴訟は、被告3名(加藤利彦・株式会社中央農林・株式会社宝林)を相手に、「①源泉地の共有登記と②温泉採取権の共有確認」を求めています。
第2陣訴訟は、別荘建築済みのオーナー246名(のちに6名が取り下げ)が原告となり、上記3名の被告に、①、②とともに、「③建築時保証金残金10万円の返還と④温泉水道使用基本料の返金」の、計約6000万円の返還を求めて、同じく大分地方裁判所日田支部に提訴しています。
また、その他にもこの裁判の関係で、「平成21年(ヨ)第5号 不動産仮処分命令申立事件」と、「平成23年(ヨ)第1号温泉施設利用妨害禁止等仮処分命令申立事件」、「同年(ヨ)第3号温泉水供給管妨害排除及び原状回復等仮処分命令申立事件」の3つの仮処分申立が行われ、いずれも申立人の主張をほぼ認める決定が出されました。
ところが、中央農林は、建築者オーナー172名に対し、平成23年1月から12月31日までの間の管理費が未納として、「平成23年(ヨ)第6号 管理費仮払仮処分命令申立事件」の仮処分を同じく大分地方裁判所日田支部に申し立てました。
一方、株式会社天ケ瀬五馬代表取締役井武志は、水中ポンプが老齢化したとして中央農林が、八景舟石台と桃の木台の9軒への温泉水供給を平成23年11月から停止していたことから、「平成24年(ヨ)第2号 不動産仮処分命令申立事件」の仮処分を同じく大分地方裁判所日田支部に申し立てました。
平成24年3月26日に、本訴での決着がつくまでの間の暫定合意が成立しました。これに伴い、中央農林は、「平成23年(ヨ)第6号 管理費仮払仮処分命令申立事件」の仮処分を取下げ、一方、株式会社天ケ瀬五馬は、仮処分の目的のほとんどが認められて、暫定合意の文書に条件として書き込まれたことから、「平成24年(ヨ)第2号 不動産仮処分命令申立事件」の仮処分を取下げました。
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